2015 . 01 . 11

ABPの代替として有力なパフォーマンス重視の広告ブロッカー『µBlock』

Webページ上の広告を非表示にする広告ブロッカーとして定番のブラウザ拡張Adblock Plus(以下ABP)。

不要な広告部分のリクエストを遮断してしまうことでページの読み込み速度もスピーディーになるのですが、なぜかメモリー消費の方は拡張を使わずにすべての広告表示している方がむしろ少なく、ABPを使用すると重くなるという事実が以前から指摘されていました。


今回紹介する『µBlock』はスクリプトやクッキー、フレーム、バナーなどに使用される無用な通信を遮断する目的で以前より公開されているHTTP Switchboardをベースにした広告ブロッカーで、ABPと互換性に配慮しつつ徹底的な省メモリー消費を目指して開発されているブラウザ拡張です。


半年ぐらい前から気になっていた拡張ですがリリース版として公開されているものはChrome版のみで、自分が常用しているFirefoxには対応していないということで残念ながら一時は見送っていたシロモノでしたが、オープンソースのプロジェクトということもありテスト版ながらFirefox用のXPIも最近になってフォーラム上で公開され始めたということで、試しにレビューを兼ねて自分が使っているFirefoxにインストールしてみることにしました。


  • 基本的にABPのフィルターがそのまま利用できますが、ABPのバックアップをまるごとインポートするような機能はないようなので、ABPからの乗り換えや試用で利用する方は、µBlockインストール後もひとまずはそのままABPを無効あるいは削除しないでおいてABP設定を開ける状態にしておいた方が、ABPのフィルターを引き継ぐのに便利でしょう。

使い方はインストールすると拡張のボタンが追加され、数字がブロックされた広告の数を示します。

ボタンをクリックすると小さなウィンドウが開き、そこにあるオン/オフのボタンによりそのサイト上で広告ブロックを使うかどうかが設定できます。

下のブロック状に並んでいるボタンでは個別設定が行なえ、上の段が現在開いているサイト、下の段がデフォルトで、左の列からインラインの<script>タグ、ファーストパーティーの<script>タグ、サードパーティーの<script>タグ、ファーストパーティーの<iframe>タグ、サードパーティーの<iframe>タグを意味し、それぞれを赤色に切り替えることで個別にブロック設定が可能です。

また、リクエストのブロックの他にページ上の任意の要素を隠す機能があり、ABPでも同様の機能がありますがABPの場合は設定に別途Element Hiding Helperなるプラグインが必要になりますが、µBlockでは最初から設定用のUIが実装されており、要素ブロックのフィルターはABPと同じで互換性があります。

使い方は右クリックメニューから「要素をブロック」で非表示にしたい要素を選択すると右下にフィルターが出力されるので、「作成」をクリックするとそれが登録されるかたちになります。


  • 現状ではこの機能はまだバギーなところがあるようです。

次にダッシュボードを見てみましょう。

デフォルトからいくつかのフィルターリストが登録されており、日本用のフィルターリストもあるので必要に応じオン/オフを切り替えるとよいでしょう。

上にないフィルターリストを登録したい場合には一番下にURLを入力すると「カスタム」の欄に追加されるようになっています。

「あなたのフィルター」は文字通り自分が設定したフィルターで、前述の要素ブロック用のフィルターも含めフィルターリスト以外のフィルターすべてがここで管理されます。

インポート/エクスポートはµBlock専用で、ABPのバックアップから自作フィルターをインポートすることはできないようなので、その場合にはABPの自作フィルターをコピーし入力欄にペーストする必要があります。

「ホワイトリスト」ではユーザーが許可したサイトが管理される他、デフォルトでは無効になっています「統計」タブの「ネットワークリクエストのログ収集を有効にする」を有効にすることでブロックされたリクエストなどのログを参照することもできます。

ABPとは違い現在のページ上で使われているフィルターを個別に無効/有効を切り替えるためのUIが装備されてはいません。

そのため某かのフィルターがブロックしていて都合が悪い場合には、上記ログを参照し不必要なフィルターをコピーしたら「あなたのフィルター」に「@@」の頭文字を付けて許可設定としてフィルター登録してやる必要があります。


さて、肝心のパフォーマンスの方はというと実際いろいろなベンチマークが公開されています。

下のグラフはいくつかのプログラムとの比較ですが、メモリ消費、CPU消費、トラッキング遮断数などいずれにおいても高いパフォーマンスを示す結果になっています。

(上はChromiumでのテストでFirefoxでの結果はこちら


パフォーマンスにこだわって立ち上げられたプロジェクトだけあって、やはり軽さに関しては折り紙付きだと思います。

反面、UIに関しては若干不親切で、特に自分でフィルターを造りたい場合など不便な面があります。

他方、ABPからの乗り換えにおいてABPでは正常なのにµBlockではページ崩れが生じるという現象はほとんどがフィルターリストが原因なので、ABPと同じフィルターリストだけを使えば基本的にそういうことは起きないものと思われ、フィルターそのものはABPと完全に互換性がある特徴もµBlockのもう一つの売りだと思います。


ABPは定番だけあって安定度はありますが前述のように無駄な重さがあり、また、昨今では企業から袖の下を受け取りその企業に有利な働きをするという商売っ気が出てきたこともあり、代替を探しているユーザーにとっては有力な選択肢となるのではないでしょうか。

なお、今回のレビューは現状非公式で公開されているFirefox版で行なったものなので、リリース版として公開されているChrome版はより安定しているものと思われます。


  • この記事は昨年12月に執筆したもので、非公式Firefox版(0.8.2.0)でのレビューとなります。
    フォーラムでは日々新しいバージョンがアップされている中、以後のバージョンで上記説明と違いが出てくるかもしれないことにご注意ください。





#1
2015 . 01 . 12  11 : 19 PM
何とか成りませんでしょうか?

http://kenz0.s201.xrea.com/weblog/index_.html?offset=760
から
以前に投稿された記事

アクセスして 、一つの記事を閲覧しようとすると 、記事を内在した全体のページにアクセスしてしまうのですけれども・・・
何とか成りませんでしょうか?

#2
2015 . 01 . 12  11 : 58 PM
kenz0

ご迷惑おかけしました。
取り急ぎご指摘のあった不具合に関して対処致しましたので、正常にご覧頂けるようになっているかと思います。

#3
2015 . 01 . 13  03 : 28 AM
渇望

早くにも 、改善 、有難うございます 。
今後も 、魅力的な記事の投稿を渇望しています 。

#4
2015 . 01 . 24  11 : 56 PM
名無しさん

GitHubのリリースログの方にもfirefox用ファイルが掲載されるようになりましたね。
https://github.com/gorhill/uBlock/releases

#5
2015 . 01 . 25  12 : 17 AM
kenz0

そのようですね。
https://github.com/gorhill/uBlock#firefox
対応ブラウザとして追加されているので、今後Firefoxのアドオン公式サイトにアップされるのも近いかもしれませんね。