ドイツのデザイナーMalwin Béla Hürkeyさんが製作した『Nihon Typeface』は印鑑からインスパイアされて作られたフォント。
印鑑に用いられる篆書体のシェイプをモチーフにアルファベットにそのエッセンスを取り入れようという試みです。
印鑑書体の特徴である文字と文字の間隔が詰まった感じを表現するために、隣り合う文字によって形を変える合字の手法が使われており、そのパターンは1200以上に及ぶとのこと。
Images via: Behance
様々なウェイトやバリエーションを加えたこれらのフォントはこちらより販売も行なわれています。
さて、最近では印鑑は日本のおみやげ物として非常に人気が高いということですが、西洋人から見れば日本の文字などは珍しいと見え、とりわけ篆書体のような独特の形はデザイナー心を擽るのかもしれません。
ただ、浮世絵にあった印から影響を受けた彼はこの書体を日本のトラディショナルなものと思っており「ジャポニズム」を強く感じさせるようでが、実際そのルーツを知っている日本人からすれば篆書体のような書体は「日本」というより「中国」をイメージするもので、このフォントに「Nihon Typeface」と銘打ってしまうことに少し違和感を感じてしまいます。
しかし、現在の中国ではもはや印鑑は使われなくなっているそうで日常から廃れていった文化とも言えます。
それを考えると今や外国人からは「ラーメン」といえば「日本」をイメージする人が多いように、印鑑においても「日本」を強くイメージする外国人がいても何ら不思議ではないのかもしれません。