スタジオジブリのアニメ撤退のニュースが話題になっていますが、日本よりもむしろ海外での反響が高いように思われる中、宮崎駿へのトリビュートの意味を込めて公開されたのがこちらの動画。
宮崎作品の名シーンを集めたスーパーカットはフランスの映画マニアAlexandre Gasullaさんが作ったもので、宮崎作品を振り返る上で印象的なカットをセンスよく編集した秀逸な作品です。
落ちていくシーン、泣くシーン、抱合うシーン、飛ぶシーンなど、共通するシーンでまとめて連続的に見せていくところが素晴らしく、映画ファンにとっては見逃せないタイトルバックの題字などもしっかり収められているところなどは相当のマニアと思われます。
Hayao Miyazaki - A Tribute on Vimeo
さて、私はジブリや宮崎駿氏には特別な思い入れはないですし、今回のニュースも正直関心はあまりないのですが、こういうのを見ると改めて宮崎氏の偉大さに気付かされる思いがします。
ビジネス的な成功としてみれば宮崎氏とウォルト・ディズニーとではかなり差が付きますが、アニメーターとしての偉大さにおいては、もはや肩を並べるぐらいの存在になったのではないかと思います。
一方で、ジブリの今回の決断は“ポスト宮崎”が育成できなかったことが理由の一つに挙げられているようですが、ハッキリ言ってジブリから宮崎駿を超えるアニメーターなど出るわけがありません。
手塚プロから手塚治虫を超えるアニメーターが生まれず、手塚治虫を批判していた宮崎駿が次の世代の担い手となったことを考えれば、“ポスト宮崎”は育ててできるものではなく、むしろ「宮崎なんてクソ喰らえ!」という反骨精神のある者でなければならないのではないかと思いますが、今の時代そんなガッツのあるアニメーターがどれだけいるのか。
偉大なる先人を新しい勢力が滅ぼすことがある意味において健全な世代交代のあるべき姿なのでしょうが、目立った勢力が現れない以上、先人自らが滅びる道を選ぶという宮崎氏やジブリの選択は正しくも寂しい気持ちがしてなりません。