昨年、中国で立ち上げられたGoogleの音楽検索、Google通の方なら知っているかもしれませんが、中国国内限定のサービスということで他国ではあまり話題になりませんでしたが、このたびはれて閲覧制限が解除されどこからでもアクセスすることができるようになりました。
まず、ちょっとだけこの音楽検索について説明すると、中国大手の検索エンジン「百度」の市場にGoogleが対抗すべく、中国の大手楽曲配信サイト「top100.cn」と提携して立ち上げた検索サイトで、楽曲の紹介、視聴、ダウンロードなどが包括的に行えるオールインワンの音楽サイトです。
ただ立ち上げ当初の印象としては、top100のサイト内をGoogleがインデックス化しただけというもので、特に興味深いことは中国国内の楽曲以外は見事にフィルタリングされていることでした。
このプロジェクトには、中国の海賊版対策の意味合いもあるとの見解もあることから、なるほど、納得の行く措置のように思えましたが...
しかし、今回リニューアル後覗いてみると、何とあるわあるわ...
「欧美」や「日韓」カテゴリーには多くの海外アーティストの楽曲が並んでいます。
もちろん日本のアーティストもたくさんインデックスされており、先に述べたように楽曲のプレビュー、ダウンロード、歌詞検索、着メロなどの利用が自由に行えるのです。
プレビューボタンをクリックすると別窓が開き、top100製のプレーヤーで再生されます。
ダウンロードも同様でGoogleは単にtop100に受け渡すだけのインターフェイスになっています。
インデックスページではGoogleらしい清潔感が見られますが、上のようなプレーヤーの実装などは他社製で統一感がなく「これがGoogleか?」という印象を受けます。
さて、昨年はじめて立ち上がった当初は、「Googleがついに音楽界に参入か」ということで話題になりました。
今やあらゆる分野に手を伸ばしているGoogleであっても、非常にディープな業界である音楽業界にだけは中々手が出せないと思われてきたからです。
これは憶測に過ぎませんが、中国のようにある意味特殊な国だからこそ、Googleはあえて自社ブランドでこのような挑戦的なサイトを立ち上げたのではないかと思います。(著作権などあってないような国だからこそ)
また、top100は楽曲の無料配信にあたり、利権者に対して相応の許諾料を支払っているとのことですが、少なくとも国外のアーティストに関しては、どう考えてもこれは疑わしく、今後問題になる可能性は高いと思います。
最後に前述でプレビュー、ダウンロードなどといいましたが、これはあくまで中国国内からの利用者に限るサービスで、その他のビジターは楽曲検索と紹介がメインのサイトになります。
しかし、考えてみると、他国のユーザーの誰が一体中国語で楽曲検索など行うのでしょうか?
というわけで、世界的な一般公開は他国の一般ユーザーにとってはメリットもなく、Googleもまたある種のリスクを負うことになるので、今回のことは意味が分からないというのが正直な感想です。
付け加えると、一般ユーザーとは別にプロキシを使ってアクセスするユーザーにとっては、それこそダウンロード天国と化すでしょう。(百度のように)
そして、それによってGoogleが利権者からの猛反発を食らうという図式は、容易に予想できることで、ますます今回の行動は理解できません。
どうして閲覧そのものから制限しないのか。
閲覧はできるがダウンロードはできないという(ある意味悪質とも思える)仕様にすることで一体何のメリットがあるのか甚だ疑問です。
Via: [ Google Operating System (Unofficial Google Blog) ]